ブラジルが生んだ総合芸術
護身術/格闘技/ダンス
肌を伝わる太鼓の音、美しく力強い歌声、流れる汗と輝く笑顔。
真剣な眼差し。
カポエイラ。
それは16世紀にブラジルの奴隷たちが編み出した護身術と言われています。音楽と踊りの要素を混ぜることで、支配者達の目を欺きながら、抵抗の術を身に着けて行ったとされ、何世紀にも渡り現代まで受け継がれてきました。
その多彩な足技を主に使い、音楽に身をゆだねながら一対一の駆け引きをします。基本的には攻撃は当てず、「プレッシャー」をかけながら相手の隙を狙い、時には転ばせたり、時にはアクロバットなどの華やかな技を披露して相手の士気を下げたりと、まさに生の駆け引きを行います。そのゲーム性はチェス、即興性はジャズのセッションに例えられます。
その他に類を見ない特質から、2014年にはユネスコ無形文化遺産に認定されました。
踊るように戦い。戦うように踊る。
それがカポエイラです。
多彩な足技
蹴って蹴って蹴りまくる
カポエイラの最大の特徴
その一つが、ジンガと呼ばれる独特なステップから繰り出される多彩な足技です。
互いにジンガを行いながら、全身の筋肉を使って繰り出される力強い蹴りの数々。攻めては避け、避けては攻めるギリギリの攻防を行います。
その動きの全ては体幹の動きを要し、カポエイラの基礎をじっくり行えば行うほど、軸の強い身体が徐々に出来上がります。
芸術性
力強く・美しく
音楽とともに進化したカポエイラにおいて、芸術性は重要な要素とされ、その組手は常に楽器演奏・手拍子・歌で囃し立てられる中で行われます。
歌われる歌は全てポルトガル語で、南米ブラジルらしい陽気なメロディから、哀愁の漂うメロディまであり、歌詞にも様々な種類があります。その場にいる皆で一つのオーケストラとなり、その輪の中心で二人が技を競う。完全にアコースティックな身体表現の場でもあります。
また攻撃と回避の合間には、アクロバットを例とする「魅せ技」を互いに行い、激しい戦いの中にも常に「遊び」の精神が在ります。